ミルク

「神の導きによって全員の意見が一致した」「この街(サンフランシスコ)にこれ以上の汚名を着せたくなかった」「事態を平穏にして全てを終わらせたかった」──
これはミルク市政委員とモスコーニ市長殺害をめぐる裁判で、被告人ダン・ホワイトに対して謀殺(計画的な殺人)ではなく故殺(一時の激情による殺人)という評決に達した陪審員たちの証言である。
また、ミルクの若き支持者クリーヴ・ジョーンズは、この衝撃の評決に際して「アメリカではホモを殺してもかまわないということです」と嘆きのコメントを残している。
(ともに『ゲイの市長と呼ばれた男』ランディ・シルツ著 草思社刊より)
強く印象に残るこの二者の証言。そして刑期を終えた直後に自ら命を絶ったホワイトの運命。これらは日本の裁判員制度が抱え込む不安と困難の前途を暗示しているように思えてくる。
('08/米 '09/4月鑑賞 バルト9)
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THIS IS ENGLAND

経済が低迷するなど80年代イギリスの国力衰退を背景にして、フォークランドをめぐる紛争は英国のナショナリズムを発揚し、多くの国民の支持を得た。この戦勝によって、信頼の著しく凋落していたサッチャーは息を吹き返す。保守党の評価は堅固になり翌83年の総選挙では圧倒的な勝利をおさめるに至ったのである。
しかしサッチャー政権にとって、これまで重点的にインフレへの政策を進めてきた代償として増大した失業者についての対策は急務であった。また一方で、フォークランドという権益に乏しく価値の低い領土に執着した戦争の是非を問う声もあった。このように依然、混迷を続ける国内の情勢にあって、過激に右傾化する若者が少なからず存在したとしても不思議はない。
紛争後の世相を少年たちの視線で巧みに再現してみせた本作品は、英国内において高い興行成績を収め、2008年の英国アカデミー賞では最優秀映画賞にも輝いている。フォークランド紛争を含めた80年代のサッチャリズムが今もイギリスの人々の記憶に刻まれている証ではないだろうか。
『アウトサイダー』('83/米/フランシス・F・コッポラ)の頃は若さゆえ、暴力を憧れの対象としてブラッド・パックの面々を受け入れもしたが、今この歳になるとさすがに悪ガキらの息苦しいばかりの危険な遊び=バイオレンスはもはや不愉快でしかない、かな〜?
('06/英 '09/4月鑑賞 シアターN渋谷)
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